いきなりですが、インクカートリッジとトナーカートリッジの違いはわかりますか?
「家で使ってるのはインクで、会社のレーザープリンターに使われてるのはトナーっていうのはわかるけど・・・一体何が違うの!?」
という方、多いのではないでしょうか。
そこで今回は、インク・トナーの成分やどのように印刷されるかを解説いたします!知っておきたいメリット・デメリットについてもお話します。
インクとトナーの違い
いきなりですが、インクカートリッジとトナーカートリッジの違いはわかりますか?
インクジェットプリンターは『インク』、レーザープリンターは『トナー』を使用します。
そのため、インクジェットプリンターは家庭で使われることが多く、レーザープリンターは会社で見かけることが多いのです。
違いについてチェックしましょう!
インクジェットプリンターとは
インクジェットプリンターは、粒子化されたインクをプリンタ用紙に直接吹きかけることで印刷します。
レーザープリンターとは
レーザープリンターは、ドラムといわれる筒状の感光体の上に色を付ける粉である『トナー』を吹き付けて、感光体についたトナーをプリンタ用紙に押し付けることで印刷します。
トナーカートリッジとインクカートリッジの違い
印刷枚数の違い
インクとトナーでは、トナーの方が多く印刷することができます。
プリンター機種やインク・トナーカートリッジによって印刷枚数は様々ですが、基本的にトナーカートリッジの方が1度の交換で大量の印刷ができます。メーカーにもよりますが、1つのトナーでの印刷可能枚数は、5,000枚から20,000枚程度です。トナーカートリッジ一本で、途中でカートリッジを変える必要もなく大量に印刷ができるため、効率的と言えますね。
それに対してインクジェットプリンターは、100枚から600枚程度となっています。
印刷単価の違い
純正品を使用した場合でも、一般的には1枚当たりの印刷単価はトナーカートリッジの方が安い場合が多いです。メーカーや使用するインク・トナーによりますが、A4用紙5%印刷密度(モノクロ印刷)でトナーは1枚 約4円、インクは1枚約12円程かかり、約3倍の差があります。。
印刷速度の違い
基本的にはインクカートリッジよりも、トナーカートリッジの方が印刷速度は速いです。大量印刷、そして高速印刷が得意なため、ビジネスの場面ではトナーが選ばれていることが多いです。
しかし顔料インクは、印刷速度が速いことが特徴です。顔料インクを選べば、インクカートリッジの弱点である印刷速度はカバーできます。顔料インクを使うプリンターは高密度で印刷することよりも印刷スピードに振っているため、印刷速度が速くなっています。
色の再現性の違い
印刷の仕上がりはトナーカートリッジよりもインクカートリッジの方が高精細です。文書ではなく写真などとにかくきれいに仕上げたい場合はインクカートリッジの方がおすすめです。
ただ、繊細な色表現ができるのは染料インクのみなので注意が必要です。
顔料インクは文字がくっきり繊細に読める反面、トナーの特性に近く、紙にインクをのせることで印刷するため、鮮やかでは染料インクと比較すると劣ります。
使える用紙の種類の違い
コピー用紙は大きく分けると「非加工紙」「加工紙」の2つです。
コピー用紙としてよく使われているのは非加工紙です。非加工紙(普通紙、上質紙、再生紙など)はレーザープリンターでもインクジェットプリンターでもどちらでも使用が可能です。
それに対し、加工紙の1つである光沢紙は表面の光沢が溶けてしまうことがあるためレーザープリンターでは使用できません。
本体とランニングコストの違い
本体価格だけで比較すると、トナーカートリッジよりもインクカートリッジの方が断然安いです。
インクジェットプリンターは今や安いものは1台当たり8,000円ほどと初期費用はかなり抑えることができます。長期的にみたランニングコストは大容量かつ1度の交換で大量の印刷ができるトナーカートリッジの方が優れています。
ただ、近年ではインクジェットプリンターにも大容量のタンクを備えたインクボトルタイプが登場しています。インクボトルタイプはインクの交換頻度を下げて、大量の印刷対応だけではなく、印刷コストも大幅に下がっているのが特徴です。
インクとトナー メリットとデメリットは?
インクのメリット・デメリット
・インクのメリット
染料系のインクなら高解像度で色の再現性が高く、重ねたときの発色が非常にきれいに印刷されて「写真印刷」に向いているとされます。文書も印刷するという方は顔料インクを選ぶのがおすすめです。
また本体の大きさがコンパクトなのもメリットのひとつ。家庭に置くのに、大きなプリンタは邪魔になりますよね。ちょっとした棚の上にも置けるので、年賀状くらいしか使わない、というご家庭でも負担なく購入することができます。
消費電力も少ないため、家計にも優しいです。
・インクのデメリット
退色スピードが早いことや水に濡れるとにじんでしまうことがあげられます。顔料インクで印刷しても耐水性は弱いです。
印刷スピードも遅いです。写真印刷が綺麗に印刷されれば…と思いながらも、なかなか印刷されてこない紙にイライラした経験がある方もいるのではないでしょうか?
そして、インク交換も使う回数によりますが、トナーに比べると多めになります。この前変えたばかりなのに、もう?と思うほど「インクを交換してください」というメッセージが表示されます。
あまり使用しなければインク交換の手間はないのでは?と思いがちですが、それは盲点。使う頻度が少なければ、今度はインク詰まりを起こし、クリーニングやインク交換が必要となる場合もあります。いざ使いたい!と思った時にインク詰まりでは、困りますよね。
トナーのメリット・デメリット
・トナーのメリット
耐水性に優れて退色スピードも遅く印刷物が長持ちすることが大きなメリットです。
とくに印刷スピードの速さは、大量に印刷することが多い人には重宝するでしょう。ビジネスの場で選ばれているのは、大量印刷が得意だというのが一番です。
さらにトナー1本で多くの印刷が可能なため、トナー交換の手間も省けます。トナーを変える時間は、当然印刷もストップしてしまいますから、タイムロスになります。「急いでいる時にインク切れ!」ということはインクジェットプリンターでありがちですが、トナーであれば、その回数は激減します。余計な仕事が減るというのは、ストレス軽減にもなりますよね。
加えて印刷コストの安さも見逃せないメリット。大量に印刷すればするほど、インクジェットプリンターとのコスト差は開いていきます。
・トナーのデメリット
写真を印刷した際に画質が劣るとされています。それは現像度の低さが原因。そのため、写真印刷ならやっぱりインクジェットプリンター、と言われてしまいます。
資料などで文書の横に少し写真が載るくらいならよいのでしょうが、しっかりと写真として使用したい時には、物足りない印刷画質になる可能性があります。
さらに、本体サイズが大きいのもデメリット。自宅にちょっと置く、というサイズではないことも多く、ビジネスでなければ邪魔と感じるサイズであることも。
ビジネスの場合でも、オフィスが狭ければ「なるべく小さいサイズのプリンタが欲しい」と考える人も多いでしょう。『ちょっと置き』が難しいのも難点です。
それに伴って、消費電力も多めです。日中、仕事をしている時にはずっと電源を入れっぱなしにすることが多いですから、消費電力は響きますよね。
またトナーや感光体など消耗品の価格も高めです。
トナーの取り扱いには要注意!
大量印刷が可能で、交換の回数が少ないトナーですが、取り扱いには注意が必要です。
トナー粒子は1000分の5ミリ程度で非常に小さく、通常は飛散することはないのですが、トナーカートリッジを破損させてしまうとトナーが飛散してしまいます。
移動や交換の際に、床に落とさないよう注意しましょう。
有害物質ではありませんが、粒子が小さいため吸い込むと気管支にまで入り込んでしまう可能性も。
また、引火してしまうと粉塵爆発を起こす可能性もゼロではありません。
もし落とすなどしてトナーが飛散した場合には、濡れた雑巾などでふき取るのがおすすめ。掃除機はさらに飛散させてしまうため、NGです。
それではインクやトナーの成分などについて、もう少し詳しく見ていきましょう!
インクの成分・印刷のされ方
インクの成分を実際の純正メーカーの製品安全データシートシートの一部を使って説明します。
・化学名 含有量(wt%)
・水 <80
・グリセロール類 10-15
・有機成分 5-10
・トリエチレングリコールモノブチエーテル 5-10
・色材 1-5
・トリエタノールアミン <1
※インクを掘り下げてお話しするとどこまでも行ってしまいますのであくまで上記のデータの場合でご説明いたします。
この商品では水が80%以上を占めています。インクジェットカートリッジのほとんどが水です。
商品にもよりますが、60%から80%がインクカートリッジでは「水」になります。
その次にグリセロール類とあります。
【乾燥防止】
・グリセロール(グリセリン)保湿性に優れた透明の液体。インクカートリッジに保湿性?と思うかもしれませんが、理由はプリンタノズルやヘッド(インク噴出口)に「目詰まり」を起こさないように「乾燥防止剤」の役割をしています。
【有機成分】
企業秘密のため非開示とのことでした。
【浸透性】
・トリエチレングリコールモノブチエーテル
「浸透剤」として扱われています。コピー用紙などの市販の紙や写真用紙は水を弾く特性があるため、表面張力を弱めインクの付着性を高める溶剤です。
【色材】
こちらも企業秘密のため非開示とのことです。
【pH調整】
・トリエタノールアミン
「pH調整剤」インクのペーハー値を適切な値にするため必要です。弱アルカリ性がインクにとっては望ましいので調整剤を使っています。
さて、非開示のところはどうなっているのか気になります。
色材とは「着色材」 着色剤ともほかの資料では書くようです。
【色材 着色材 着色剤】
顔料とは鉱物を用いて作られて、水に溶けず溶媒中を分散しているタイプのインクのことです。
染料とは主に植物性の水溶着色剤です。藍染などもそれになります。
顔料系インクは、用紙上にインクを付着させるようにして発色させるので、きめの細やかさや色の重ね合わせの品質が染料に比べて劣るため、高画質な印刷には向かないとされるが、
にじみを抑えるなどの利点があり、文字の印刷には顔料系インクが適しているとされます。
染料インクに比べて対光性(退色スピードが遅い)や耐水性も優れています。
染料インクはその逆で色の重ね合わせが顔料インクよりも行いやすく、発色性に優れているが、文字印刷時には「にじみ」がでやすく、
対光性(退色スピードが早い)や耐水性が顔料に比べて劣ります。
有機成分・・・!?
あと含まれているのは「防腐剤」「分散剤」などです。
「防腐剤」読んで字のごとくで商品の変質を防ぐもの。
「分散剤」顔料インクは水に溶けないので沈殿防止の役割を果たしています。
トナーの成分、どのように印刷されるか?
次にトナー(パウダー)成分です。こちらも純正メーカーの製品安全データシートを見てみます。
モノクロレーザープリンタ用トナーです。
化学名 濃度又は濃度範囲(重量%)
スチレン・アクリル酸エステル共重合体 45-55
酸化鉄 40-50
非晶質シリカ 1-3
※トナーも掘り下げるとどこまでも行ってしまうので上記データの場合でご説明いたします。
上記は「磁性トナー」と呼ばれるものです。これを今回例にします。
【スチレン・アクリル酸エステル共重合体】
帯電性を持ったプラスチック粒子に黒鉛・顔料等の色粒子を付着させたミクロサイズの粒から成る粉です。
簡単に言うとプラスチックの板に顔料を練りこんで、思い切り壁にそれをぶち当てて粉々になったものがトナーです(粉砕トナー)
【酸化鉄】
簡単に言うと鉄粉です。キャリアとかとかトナーと混ざったものはデベロッパーとか言います。
どうして「鉄」が必要なのか・・・。
感光体ドラムという「版木」の役割をするものが下の図のようにあります。
これは電気を帯びており電磁石のイメージで感光体上に指定されたところへトナーが飛び移る必要があるので「鉄」が含まれています。
【非晶質シリカ】
外添剤・・・付着性を向上させるのが狙い。
成分はこれくらいで印刷方法はどうなるのか?
百聞は一見に如かず、こんな感じで印刷されます。
最終的には「定着ユニット」で熱圧着を行い印刷されて排紙されます。
【プリンタ選び】インクとトナーどちらを選ぶ?
インクジェットはもちろん場所をとらずコンパクトな点で家庭用でよく用いられ、オフィスはレーザープリンターやトナー複合機の導入率が非常に高いのは印刷スピード、
印刷量が家庭のそれとは全く違うので効率的にこちらが選ばれます。
写真印刷がメインで、印刷枚数が少なめであればインクジェットプリンターがおすすめ。またビジネスや大量に印刷することが多いのであれば、1枚あたりのコストが安いレーザープリンターがぴったりでしょう。
自分の用途に合わせて選ぶとよいですね。
インクジェットプリンター | レーザープリンター | |
---|---|---|
印刷枚数 | 100~600枚 | 5,000~20,000枚 |
印刷単価 | 約12円 | 約4円 |
メリット | ・発色がきれいで「写真印刷」向き ・プリンタがコンパクトなものが多い ・耐水性に優れて退色スピードも遅く印刷物が長持ちする |
・印刷スピードが速い ・トナーの交換頻度が少ない ・印刷コストが安い |
デメリット | ・退色スピードが早い ・印刷スピードが遅い |
・写真の画質が劣る ・本体サイズが大きい ・消費電力が多い |
こんな人に おすすめ |
・写真印刷がメイン ・印刷枚数が少なめ |
・大量に印刷することが多い |
ランニングコストを安く済ませるには消耗品の「インク・トナー」が鍵!
トナーであれ、インクであれ、コストを安く済ませるのであれば消耗品選びが鍵になります。
先にプリンタのスペックありきで自分が選んだ商品の市場性が乏しい場合、互換品やリサイクル品がそもそも出ないこともあります。
たとえ互換品やリサイクル品が販売されたとしても、そもそも絶対量が少ないのでおのずとそういった第三者メーカーの消耗品の販売単価があがる場合も。
そのため、プリンターの売れ筋、消耗品の価格等を調べてからプリンターを購入することをおすすめします。発売して少し経ったプリンターであれば互換品や再生品、つめ替えインク等すでに販売されているか調べてみるのも良いかもしれません。
もしもプリンター選びや互換・再生品についてわからないことや不安なことがあれば、インクのチップスへ相談してみてください♪
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