2024年10月にAdobe Illustrator 2025(Ver.29)がリリースされました。
下記の様にロゴとスプラッシュ画面も新しくなっています。
今回のアップデートではパス上オブジェクトツールなどの新機能や画像トレースのアップデート、生成AI系機能の強化が行われています。
この記事では、Adobe Illustrator 2025のアップデート内容と新機能の使い方を解説します!
パス上オブジェクトツール(パス形状に整列)の実装
Illustrator 2025に搭載された「パス上オブジェクトツール」を使うとパス形状に合わせて複数のオブジェクトを配置することができます。
複数のオブジェクトをパスに沿って整列配置できる
以前はオブジェクトを手作業で配置する必要がありましたが、「パス上オブジェクトツール」を使うと一括で配置&整列ができるようになりました。
下図のように、四角形のような図形だけでなく、ペンツールで描いた波形などにも整列配置が可能です。
また、まとめて回転させたり、ドラッグしてオブジェクトの位置の変更もできるので再編集しやすいのもメリットです。
パス上オブジェクトツールの使い方
①配置したいオブジェクトをまとめて選択
②オブジェクト
③パス上オブジェクト
④スナップ
⑤配置したい形状のパスをクリック
簡単な手順でパスに沿った配置ができる便利機能なので、覚えておくと便利です!
画像トレースの新機能
画像トレース機能がアップデートされ、より高精度で美しいアウトライン化が可能になりました。
また、新たに「グラデーション化」「透明化」「グループ化」機能も追加されています。
画像トレースとは、イラストレーターでラスタ画像(写真やビットマップ画像)をベクタ画像に変換する機能です。これにより、写真やイラストを拡大しても劣化しないベクタ形式に変換することができます。
滑らかなグラデーションの適用が可能に
Illustrator 2024以前の画像トレースでは、グラデーションが適用できず、単色の「塗り」で表現されていましたが、アップデートによりグラデーションの塗りが使用可能になりました。
これにより、アンカーポイントの数が大幅に減り、パスがよりシンプルになります。
従来、グラデーションを表現できない場合は、パスを細かく分割して色を少しずつ変化させていましたが、今回のアップデートで「滑らかさ」設定を上げることで、シンプルなグラデーションオブジェクトとして変換できるようになりました。
画像トレースでグラデーションを利用する方法は下記になります。
①ウィンドウ→画像トレースでパネルを開く
②カラーモードを「カラー」
③パレットを「フル階調」に設定
④「グラデーション」にチェックを入れます。
今回のアップデートで、画像トレースによる複雑なオブジェクトやファイルの重さの問題も大幅に軽減されると期待されています。
ただし、写真のような複雑なグラデーションは完全に再現されない場合もあるため、注意が必要です。
背景を透明として変換可能に
従来の画像トレースでは、背景が透明な場合でも、その透明部分が白色のオブジェクトとして処理されていました。しかし、今回のアップデートにより、白色部分を透明に変換できるようになりました。
透明設定の方法は、オプションで「透明部分」と「カラーを透過(透過したいカラーを選択)」にチェックを入れることで、不要な背景部分を自動的に取り除けるようになり、画像トレースがより効率的になりました。
自動グループ化機能
オプションの「自動グループ化」にチェックを入れた後で拡張を行うと、関連するオブジェクトがグループ化された状態で拡張されます。完全なグループ化にはならない場合もありますが、AIが自動的に関連性のあるオブジェクトをひとまとまりとして整理してくれます。
生成パターン機能のアップデート
生成パターン機能は、AIによってシームレスなパターンを自動生成するツールです。
今回のアップデートで、新たに「密度」設定が追加され、パターンの密度を自由に調整できるようになりました。
パターン密度の調整が可能に
パターン密度は、ND値を調整することで変更できます。ND値を上げると、パターンの密度が高くなります。
生成パターンパネル内のアイコンから、ND値の設定が可能です。
モックアップ機能
モックアップ機能とは、平面の画像に2Dのオブジェクトを立体的に配置することができる機能です。以前はBeta版でしたが、正規リリースされました。
画像に対してモックアップ機能を使用すると、ベクターオブジェクトを画像内に自由に配置することが可能です。
ロゴなどのベクターオブジェクトをモックアップ画像内でドラッグすると画像に合わせて自動で変形されるため、気軽に商品イメージやロゴなどの使用イメージを作成することができます。
モックアップ機能の使い方は下記です。
①「モックアップ画像」と「ベクターオブジェクト」の2つを選択する
②オブジェクト→モックアップ
③モックアップを作成
Retypeの日本語対応と文字の再編集
Retypeとは、Illustratorでフォントの検索やアウトライン化した文字の再編集ができる便利な機能です。
アウトライン化した文字だけではなく、画像内の文字も検索とフォントの編集が可能です。
以前は英文書体のみの対応でしたが、今回のアップデートで日本語にも対応されました。
フォントの検索ができる「マッチフォント」
アウトライン化または画像内のテキストを選択した状態で、「書式」→「Retype」→「マッチフォント」を選択すると該当のフォントを調べてくれます。
文字の再編集
アウトライン化または画像内のテキストを再編集可能なテキストオブジェクトに変換することができます。
Retypeの「テキストを編集」の方法は下記です。
①画像またはアウトラインテキストを選択する
②書式→Retype
③テキストを編集
④フォントを選択
⑤「適用」を選択すると、テキストオブジェクトが生成される
文字のサイズや文字間隔等のテキスト設定は維持されない場合があるため、再調整が必要な場合があります。
また、フォントを間違えて認識される場合もあるため注意が必要です。
文字組みとテキストエンジンの更新
Illustrator 2025からはテキストエンジンが刷新されており、過去のバージョンとの互換性がなくなってしまっているので注意が必要です。
テキストエンジンの更新に伴い、新ツール「文字組み更新機能」が追加されています。
旧バージョンのIllustratorで作成されたテキストとの差が発生してしまいますが、変更箇所を色分けして表示されるため簡単にチェックすることが可能です
グラデーションの一括作成機能
スウォッチ上のカラーグループから、一括でグラデーションが作成できるようになりました。
カラーグループからグラデーション作成する方法
下記手順でカラーグループからグラデーションの作成が可能です。
①複数の塗りオブジェクトをまとめて選択
②スウォッチを表示
③新規カラーグループを作成
④グループを選択しグラデーションを作成
まとめ
Adobe Illustrator 2025(Ver.29)について解説しました。
過去のバージョンで作られたデータは開くだけでも体裁が変わる可能性などがあるため、慎重になっている方も多いと思います。ですが、便利な機能も追加されているのでタイミングを見てアップデートを検討してみるのはいかがでしょうか。