プリンターを使っていて、インク交換のときや印刷トラブルの際に、うっかりインクが手や服についてしまった経験はありませんか?
一見小さな汚れでも、プリンターインクは非常に着色力が強く、乾くと繊維や皮膚にしっかり定着してしまいます。しかも、インクの種類によって落ちやすさが全く違うため、誤った方法でこすってしまうと余計に汚れが広がることも。
この記事では、プリンターインクが手や服についてしまったときの正しい落とし方を、インクの種類別に詳しく解説します。
染料インクと顔料インクの違いとは?

インクの落とし方を知るには、まず「どんなインクが使われているのか」を理解するのが大切です。
プリンターで主に使われているのは、染料インクと顔料インクの2種類です。
| 種類 | 特徴 | 落としにくさ |
|---|---|---|
| 染料インク | 水に溶けるタイプ。写真印刷などに多く使われ、発色が鮮やか。 | 比較的落ちやすい(水でにじむ) |
| 顔料インク | 粒子が紙の表面にのるタイプ。文字がくっきりして滲みにくく、水や光に強い。 | 非常に落ちにくい(耐水性が高い) |
簡単に言えば、染料インク=水に溶けやすい、顔料インク=水をはじくタイプです。
手や服についたときは、この違いを見極めてから対処するのがポイントです。
参考記事>染料インクと顔料インクの違いは?プリンターを買う前に知っておきたいポイント
【手・指についたとき】プリンターインクの落とし方

インクが手や指についた場合、焦って強くこすってしまうのはNGです。皮膚の角質層にインクが入り込み、かえって黒ずみの原因になることがあります。
まずは「溶かして落とす」ことを意識して、肌に負担をかけない方法で丁寧に対処しましょう。
おすすめの落とし方ステップ
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ハンドソープで軽く洗う
まずはぬるま湯と石けんで優しく洗ってみましょう。軽い汚れであれば、これだけで落ちることもあります。 -
オイルを使って汚れを浮かせる
オリーブオイルやベビーオイル、クレンジングオイルなどを手に取り、汚れ部分にくるくるとなじませます。1〜2分放置したあと、ティッシュやコットンで拭き取りましょう。その後、石けんで洗い流します。 -
しつこい汚れにはエタノールやアルコール除菌シート
顔料インクのように水をはじくタイプは、アルコールの力で落ちやすくなります。ただし、乾燥しやすいので使用後は必ず保湿ケアを。 -
仕上げにハンドクリームで保湿
インクや洗浄剤で油分が奪われるため、ハンドクリームを塗って肌を守りましょう。
もし指の爪や甘皮部分に入り込んだ場合は、綿棒にオイルを含ませて優しく拭くのがおすすめです。
数日経つと自然に角質と一緒に落ちることもありますので、焦らずケアしましょう。
【服についたとき】素材別・インク別の対処法

服にプリンターインクがついてしまった場合は、乾く前にすぐ対処することが何より大切です。
時間が経つと繊維の奥まで色素が浸透し、完全に落とすのが難しくなります。
染料インクの場合
染料インクは中性洗剤や固形石鹸を使って「もみ洗い」や「たたき洗い」をするのが基本です。
染料インクが繊維に染み込んで乾いてしまうと、汚れを落とすことが非常に難しくなってしまうので、乾く前に対処することが大切です。
- 乾く前にティッシュやキッチンペーパーで軽く押さえて余分なインクを吸い取る(こすらない)
- ぬるま湯で裏から水を流す(インクを繊維の外に押し出すイメージ)
- 中性洗剤を汚れ部分につけ、優しく揉み洗いする
- それでも残る場合は、酸素系漂白剤を使ってつけ置き洗い(色落ちテストを必ず行う)
※白いシャツやタオルなどは比較的きれいに落とせますが、濃色の服やプリントTシャツは注意が必要です。漂白剤を使うときは色落ちに十分注意しましょう。
顔料インクの場合
顔料インクは耐水性が強く、水では落ちません。溶剤の力で分解・浮かせるのがポイントです。
- 裏にタオルや不要な布を敷き、汚れ部分を上にする
- コットンにエタノールやクレンジングオイルを染み込ませ、汚れ部分をトントンとたたくように押さえる
- インクがタオル側に移ったら位置をずらしながら繰り返す
- その後、中性洗剤で洗い流してから洗濯機で通常洗い
エタノールを使うと生地の色やプリントが落ちることがあるので、注意しましょう。
また、ウールやシルクなどデリケート素材の場合は自宅での処理は避け、クリーニング店に相談するのが安全です。
【注意】やってはいけないNG行動

インクがついてしまうと、つい「とにかく早く落としたい!」と思って焦ってしまいますよね。
しかし、間違った対処をしてしまうと、インクが繊維の奥まで入り込んだり、かえって汚れが広がることがあります。
以下のような行動は絶対に避けましょう。
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ゴシゴシこすってしまう
強くこすると、一見落ちたように見えても実際にはインクが繊維の中に押し込まれ、色素が定着してしまいます。服の場合は繊維が傷つき、手の場合は皮膚が黒ずむ原因にもなります。
特に顔料インクは粒子が細かく、こすることで摩擦熱が発生すると、かえって繊維と密着してしまうことも。 -
熱湯を使う
お湯で洗えば早く落ちそうな気がしますが、実は逆効果です。
インクに含まれる樹脂や顔料成分が熱で固まり、繊維に定着してしまいます。ぬるま湯(30〜40℃)程度ならOKですが、熱湯は絶対に避けてください。 -
塩素系漂白剤を直接かける
塩素系漂白剤は強力すぎて、インクだけでなく衣類の染料まで分解してしまう恐れがあります。白い服でも、繊維が傷んで黄ばんだり、生地が変質するリスクがあります。
どうしても漂白したい場合は、酸素系漂白剤を薄めて使うのが安全です。 -
乾かしてから落とそうとする
インクが乾くと、色素や樹脂が完全に硬化してしまい、一般的な家庭用洗剤では太刀打ちできません。放置せず、「ついた瞬間に対処する」ことが鉄則です。
インク汚れは「早く・やさしく・冷静に」が基本。焦らずに、繊維を守りながら落とすようにしましょう。
また、どうしても落ちない場合は無理をせずクリーニングに出しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. インクが乾いてしまった場合でも落とせますか?
A. 乾いてしまうと、インクの色素や樹脂が繊維や皮膚に固着してしまい、完全に落とすのが難しくなりますので、早めに対処することが大切です。自宅で対処して汚れが落ちなかった場合はクリーニング店に相談することをおすすめします。
Q. インクがついたとき、水洗いだけではだめ?
A. 染料インクであれば水である程度落ちることもありますが、顔料インクの場合はほとんど落ちません。中性洗剤・オイル・エタノールなど、汚れを「溶かして浮かせる」成分を使うのがポイントです。
Q. 手についてしまったインクは自然に消えますか?
A. 軽い汚れであれば、数日〜1週間ほどで皮膚のターンオーバーとともに自然に薄くなります。
ただし、顔料インクなど頑固な汚れは時間がかかることもあります。
オイルやクレンジングを使って優しく落とし、最後にハンドクリームで保湿ケアをしておくと早くきれいになります。
Q. インク汚れ防止のためにできることはありますか?
A. インク交換時や印刷トラブル対応時は、使い捨て手袋や新聞紙・古布を敷いておくのが有効です。
まとめ
インクがついたらすぐに対処する、これが汚れを残さない一番のポイントです。
焦らず、落としたい場所・素材・インクの種類を見極めてから対処すれば、無理にこすらなくても汚れを軽減できます。
どうしても落ちない場合は家庭で無理をせず、専門店の力を借りましょう。

