インクジェットプリンターには『寿命』があります。
目安は、ズバリ「1万枚」。
プリンターを新しく購入してから、累計でざっと1万枚の印刷を行うと「ヘッド」と呼ばれるインクの吹き出し口が消耗し、きれいな印刷ができなくなると言われています。
もっとも、印刷の頻度、印刷物の内容、設置場所や日頃のメンテナンス、そして使用するインクによって、数千枚でダメになってしまうプリンターもありますし、2万枚を超えても元気に印刷し続けるプリンターもあります。
「だいたい3年くらい」という説もありますが、これは駆動部分にゴムやプラスチックが使用されているため、この劣化によるトラブルが発生するまでの時間と考えられます。
今回は、不具合の症状別に、「修理」か「買い替えを検討すべき」かを解説いたします。
尚、以下のご説明は「インク独立型」のプリンターについてのものですので、「ヘッド一体型」(有名なところではキヤノンiP2700、MG3630など)は該当しません。また、高耐久のビジネスインクジェットは数万枚の「寿命」がカタログに明記されているものもありますので、ビジネス機はそちらをご参照ください。
印刷がかすれる、色がおかしい、という場合
印刷のかすれ、横スジ、色合いが明らかにおかしい、といった印刷のトラブルは、全部ひっくるめて「印字不良」と呼ばれます。
こういった場合、プリンターのヘッド(インクの吹き出し口)の一部が何らかの理由で「詰まった」状態になっていることが考えられます。
まずは、プリンターの取扱説明書等を参照し、「ヘッドクリーニング」の操作を行ってください。
症状が改善すればOKですが、1回のヘッドクリーニングで症状が改善しない場合は、キヤノンでしたら「強力ヘッドクリーニング」を、その他のメーカーのプリンターでは、通常のヘッドクリーニングを3~4回繰り返してみてください。
あまりやりすぎると「廃インクパッド」の寿命を縮めてしまいますのでご注意を。
ヘッドクリーニングで改善しない場合は「洗浄カートリッジ」をご使用いただくと改善する場合があります。まだ「寿命」と言うには早すぎる印字トラブルでしたら、洗浄カートリッジで劇的に改善することもありますのでぜひお試しください。
ただし、すでにたくさん印刷を行ったプリンターの場合は「プリントヘッドの寿命」という可能性も考えられます。
一般的な家庭用インクジェットプリンターの場合、A4用紙に5%の印刷で「1万枚」が寿命の目安になります。写真印刷など、印刷面積が大きい場合は1万枚以下でもプリントヘッドが摩耗し、正常な印刷ができなくなることがあります。
プリントヘッドの寿命が疑われる場合、プリンターがメーカーの保証期間内(だいたいはご購入から1年)であれば、メーカーに修理をご依頼いただくのが良いかと思われます。
メーカーの保証期間を過ぎている場合、プリントヘッドの交換はなかなかよいお値段になりますので、よほどの高級機種でない限りは「買い替えた方が安い」ということになりがちです。
印刷が全くできない(白紙が出てくる)という場合
「昨日まで何とか印刷できていたのに、全く印刷されなくなった」という症状も稀に発生します。
駆動音は正常なのですが、何も印刷されず、真っ白な紙がしずしずと出てくる、にわかに信じがたい故障です。
すべての色が一度に詰まるということは考えにくいのですが、この症状の場合でもメーカーに修理を出すと「プリントヘッドの交換」が行われますので、やはりプリントヘッドの異常による印字不良の一種のようです。
プリンターの「ヘッド」とはこういう部品です
メーカーの保証期間内でしたら修理するのが良いかと思いますが、保証期限が切れている場合は、修理の金額を確認し、場合によっては買い替えも選択肢の一つになるかと思います。
直線がズレる、文字がぼやける、という場合
まっすぐなはずの先が、途中でズレていたり、文字がぼやける場合、まずは「ヘッドの位置調整」を行ってみてください。
インクジェットプリンターの「ヘッド」は、印刷時に忙しく左右に動きます。また、インクカートリッジの交換や、設置場所を変えたりする際の振動で、ヘッドの位置がズレてしまうことがあります。
ヘッドの位置がズレてしまうと、ズレた位置に印刷されてしますので、直線のズレや輪郭のぼけが発生します。
ヘッドの位置調整は、紙を数枚消費し、時間も10分少々かかりますが、できれば定期的に行っていただくと良い状態が保てます。
廃インクパッド(廃インク吸収パット)のエラーが出た場合
「ヘッドクリーニング」や電源の立ち上げ時に排出される「余分なインク」は、プリンター内の「廃インクパッド」に送られます。この「廃インクパッド(廃インク吸収パッド)」の吸収量が限界に達した場合、プリンターは印刷もスキャンもできなくなってしまいます。
エプソンの一部機種には、廃インクパッドを交換できるものがありますが(メンテナンスボックスという名称です)、大部分の家庭用インクジェットプリンターは廃インクパッドをユーザーが交換できない仕組みになっています。つまり、メーカー修理が必要、ということになります。
メーカーの保証期間内に廃インク吸収パッドがいっぱいになることはあまりないので、有償修理になることが多いかと思います。
プリンターを分解したことのあるマニアな方はご存知かもしれませんが、廃インク吸収パッドというのは、キッチンペーパーをぎゅっと圧縮したような繊維状のものです。
修理の金額を調べると、「そんなにお金かかるの?」という見積りが出るかと思いますので、廃インクパッドの限界がきっかけでプリンターを買い替える方も多いようです。
尚、ネットを検索すると「廃インクパッドエラーの解除ツール」なるものを販売しているサイトも出てきますが、一時的にエラーを解除しても、実際に廃インクパッドには大量のインクが溜まっている状態であることに変わりはありませんので、「解除ツール」でエラーを解除して、そのまま使用し続けることはお勧めできません。廃インクパッドにインクが溜まっているプリンターは、傾けただけでプリンターからインクが漏れて、周囲をひどく汚すことがあります。
廃インクパッドがいっぱいだと、横倒しにするだけでこうなります
ちなみに、プリンターを分解して廃インクパッドを洗浄・交換する方法もネットには出ていますが、手や服を汚したり、作業の手間などを考えると、「新しいプリンターを買った方が安い」のではないかと思われます。
プリンターを長持ちさせるには?
ここまで、代表的な不具合を見てきましたが、実は「質のいいインク」を使っていると、プリンターの寿命はかなり延びます。
質の悪いインクを使っていると、プリンターのヘッドの消耗も早いですし、トラブルも多くなります。そのため、頻繁にヘッドクリーニングを行うことにもなりますので、廃インクパッドの寿命も短くなります。
もちろん、純正インクを使用するのが「プリンターを長持ちさせる」という意味では一番いいのですが、なにしろ純正インクは高すぎますので、我々庶民にはなかなかキツいものがございます。
一方、4色セットで200~300円といった破格の値段で販売されている互換インクは、インクの中身に不安があります。
インクの成分は、ほとんどが「水」ですが、「色のモト」以外に「添加剤」と呼ばれる、流動性を一定に保ち、泡立ちを抑えるといった機能を持つ成分が投入されています。
互換インクの「質」は「添加剤」で左右される
簡単に言うと、一般的な互換インクは、「添加剤」にお金をかけていません。
インクのチップスでは、「水」は工場でろ過したものを使用し、「色のモト」は欧米の有名メーカーのものを指定しています。そして「添加剤」は日本の化学メーカーが製造した(結構お値段の張る)ものを指定しています。
そのため、インクカートリッジからプリンターのヘッドまで、途切れることなくインクが供給されて、ヘッドの寿命を縮める「目詰まり」や「かすれ」が発生しにくくなっています。
当然、ヘッドクリーニングの回数も抑えられますので、廃インク吸収パッドも長持ちします。
「純正と見分けがつかない印刷ができる」というのは、今では互換インクでも当たり前です。ぜひ、「プリンターを長持ちさせる」インクのチップスの互換インクをご利用ください。
プリンターの買い替えのご相談も承ります!
いつになく長い記事になりましたが、最後までお目通しいただきありがとうございます。
インクのチップスでは、インクカートリッジのご購入のご相談だけではなく、「こんな症状が出たけど、洗浄カートリッジは効果ある?」「今買い替えるのなら、おすすめのプリンターは?」といったご相談も承っております。
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