句読点を付けない理由は?知っておきたい年賀状マナーまとめ - インクのチップス本店

先日、年賀状の投函期限についてお話ししましたが、今回は年賀状の文章作成時のマナーについてお話したいと思います。意外と知らない年賀状のマナーをまとめましたので、作成前に一緒に予習しておきましょう!

参考記事:年賀状を元日に届けるには、いつまでに出せばいいの?

年賀状には句読点はつけません

年賀状には句読点はつけません

縁起の良い事はずっと続いて欲しい、せっかくのおめでたい事に区切りをつけないという思いから、年賀状では句読点をつけないとされています。
年賀状の代わりに寒中見舞いを送る際も、句読点はつけない事がマナーとされています。
他にも慶事の際の挨拶状や証書など、重要な書状となるものにも句読点はつけません。 喪中はがきに対してはこれまでその概念はなかったのですが、重要な挨拶状に句読点はつけないという形式に習い、句読点をつけない事がマナーとなりつつあります。

年賀状に句読点をつけないのはなぜ?

昔の日本は毛筆文化のため、句読点はもともとありませんでした。明治時代に日本の教育システムが整い、子供たちが平等に理解できるように句読点が使われ始めたとされています。
「句読点は子供のためのもの」という考えが、場合によっては「句読点をつけないと理解できないのでは」という意味にも捉えられる事を懸念し、目上の方への年賀状では句読点をつけないとされています。
どうしても文章のリズムをよく見えるようにしたい時は、行間にスペースを入れるなど工夫するとよいでしょう。

年賀状を書くときは、忌み言葉に気をつけましょう

句読点のように、普段から使用している言葉でも、祝いの時にはタブーとされている言葉を忌み言葉といいます。
結婚式だと「四」が「死」を連想させるのでタブー。
受験シーズンになると「滑る」「落ちる」が禁句でしたよね。
一般的に忌み言葉とされている言葉は、別れや死、不幸を連想させるものとなります。
同様に、お正月にも縁起が悪いとされる言葉があります。

年賀状を書くときについつい使ってしまいがちな忌み言葉

「去年」…「去」には「別れる」「離れる」の意味があり、離縁を連想させてしまうため、「昨年」「旧年中」などの表現に言い換えましょう。

おまけ:「猿」も忌み言葉だった?

十二支でもある「猿」は「去る」を連想させるため、「去る」の対義語である「得て」に言い換え、親しみを込めた「公」「吉」を用いた「エテ公」「エテ吉」と表現していたとか。今はさすがにここまで細かく気にする事はないと思います。

年賀状の構成や言葉選び、表現も気を付けましょう

句読点以外にも、構成や言葉選びについても注意が必要です。 年賀状作成時の構成に気を付けながら、適切な挨拶文を使い分けましょう。

年賀状の文章構成

年賀状の構成について

① 賀詞(新年を祝う言葉)
② 昨年もお世話になった事への感謝を述べる文章
③ 本文
・今年も変わらぬお付き合いをお願いする文章
・相手やその家族の幸せや健康を願う文章
・他、自分なりの挨拶文
④ 新年号と日付(元旦・正月)

年賀状では、賀詞の選び方に注意が必要

賀詞(がし)とは、新年をお祝いする言葉の事です。
「あけましておめでとうございます」という言葉が一般的ですね。賀詞には口語調、漢語調、英文と、いくつかパターンがあります。

目上の方への年賀状では、「恭賀新年」「謹賀新年」または、「謹んで新春のお喜びを申し上げます」等、「恭しく(うやうやしく)」「謹んで(つつしんで)」といった相手への敬意を表す言葉が含まれた賀詞を使用しましょう。
「賀正」「寿」などの敬意を省略した短い賀詞は、気の置けない知人宛てなどに使用します。

それぞれの構成で適切な文章は以下をご参照ください。

①賀詞

「謹賀新年」…謹んで新年をお祝い申し上げます
「恭賀新年」…恭しく新年をお祝い申し上げます
「謹賀新春」…謹んで新しい年をお祝い申し上げます
「恭賀新春」…恭しく新しい年をお祝い申し上げます
「敬頌新禧」…恭しく新年の慶びを称え申し上げます
「あけましておめでとうございます」

②昨年もお世話になった事への感謝を述べる文章

・昨年はいろいろお世話になり ありがとうございました
・昨年は格別の御厚情を賜り 厚く御礼を申し上げます
・旧年中は格別のご指導ご支援を頂き 誠にありがとうございました
・旧年中はご指導いただき 大変お世話になりました
・旧年中は何かとご指導いただき 厚く御礼申し上げます

③本文
●今年も変わらぬお付き合いをお願いする文章

・今年もよろしくお願いします。
・本年も相変わらぬご指導ご鞭撻を よろしくお願い申し上げます
・今後も変わらぬご指導と、末永いお付き合いをお願い申し上げます

●相手やその家族の幸せや健康を願う文章

・ご家族の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
・皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます
・この一年のご健康と ますますのご活躍をお祈り申し上げます
・貴社のますますのご発展を祈念いたします

 

他にも、ご無沙汰している事や近況報告など、贈る相手によって内容を充実させてみましょう。
例えばご結婚された方の場合「結婚して初めてのお正月を迎えます」といった一文があると、読む側にとって気持ちがほっこりする良い年賀状になるでしょう。ビジネス向けの場合は決意表明なども熱意が伝わり信頼関係が深まりそうですね。

④新年号や日付

2025年の元旦に年賀状を届けられる場合は、下記表記にしましょう。

「 令和七年 元旦 」

もし元旦に届けられない年賀状の場合は、以下のように記載しましょう。

「 令和七年 正月 」

意味が重複した言葉に注意

①新年あけましておめでとうございます
諸説ありますが「新年」と「あけまして」の意味が重複する・または「新年」はあけるものではないという意見があります。
よって「あけましておめでとうございます」「新年おめでとうございます」との言葉で表現する事が無難です。

②一月一日 元旦
「元旦」は「一月一日の朝」を意味するため「一月一日 一月一日の朝」と言っている事になります。

どちらも間違えやすい重複言葉ですので、改めて気を付けましょう

年賀状の文例集

年賀状の文例集を、送る相手別でご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【目上の方への年賀状文例】

【例文①】上司への年賀状の場合

謹賀新年

旧年中は格別のご指導ご支援を頂き 厚く御礼申し上げます
本年も変わらぬご指導ご鞭撻を よろしくお願い申し上げます
皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます

平成三十一年 元旦

【例文②】上司への年賀状の場合②

謹賀新春

旧年中はご指導賜り ありがとうございました
未熟者ゆえご面倒おかけ致しますが 今年もご指導の程よろしくお願い申し上げます
寒さ厳しい折 風邪など召されませんようご自愛くださいませ

平成三十一年 元旦

【例文③】恩師への年賀状の場合

あけましておめでとうございます

平素の疎遠をお詫び申し上げます
先生やご家族の皆様にはおかわりございませんでしょうか

早いもので 今年は入社して二年目となります
先生の親身なご指導を更に活かせるよう努力する所存です

またお会いできる日を楽しみにしています
くれぐれもご自愛ください

平成三十一年 元旦

目上の方への年賀状でタブーな表現

賀詞には様々な種類があり、適した賀詞は送る相手によって異なります。賀詞によって具体的な意味も異なるので、注意が必要です。

漢字一文字の賀詞:部下、同僚、友人に適した賀詞

「寿」…おめでたいこと、祝い
「賀」…祝い、喜んで祝う
「春」…新年のこと

漢字二文字の賀詞:部下、同僚、友人に適した賀詞

「賀正」…正月を祝う
「迎春」…新年を迎える
「初春」…新年、年の初め
「慶春」…新年を喜んで祝う

漢字四文字の賀詞:上司や恩師、取引先など目上の方に適した賀詞

「謹賀新年」…謹んで新年をお祝いいたします
「謹賀新春」…謹んで新春をお祝いいたします
「恭賀新年」…恭しく(丁重に)新年をお祝いいたします

年賀状を書くペンにもマナーがある

書くペンにもマナーがあります

年賀状のベースのデザインは印刷で、添え書きは手書きと言う人が多数を占めるようです。実は書く時のペンにもマナーがあるのをご存知ですか?おすすめのペンと、マナー違反になるペン両方ご紹介します。

年賀状を書くのにおすすめのペン

太くて力強い字が縁起が良いとされていますので、持っていれば毛筆で書くことをおすすめします。ですが、毛筆で書く事って難しいし、持っていない方も多いですよね。
そんな時は筆ペンがおすすめ。最近では描きやすい筆サインペンなど、年賀状に適したペンが沢山販売されてます。自分が描きやすくて、なるべく太い字が書けるペンを選びましょう。万年筆を使うのもおススメです。
もちろん、ゲルインクペン、油性ペン等でも問題はありませんが、目上の方に送る際は筆ペン等で送るのが良いかもしれません。

年賀状を書くのに、マナー違反となるペンは?

弔事用の薄墨のペンはお葬式用ですので、間違えて使用しないように注意しましょう。
ボールペンに関しては、人によっては意見が分かれるため、なるべくなら目上の人に送る年賀状では控えるのが無難でしょう。ボールペンは事務的な印象になりがちなので、相手に失礼な印象を与える事になりかねません。

年賀状を書き損じた場合の対処法

残念ながらどんなに丁寧に書いてもうっかり間違えてしまう事ってありますよね。年賀状の場合修正液って使っていいのでしょうか?
結論からいうと、マナーとしては「書き損じた場合は書き直す」ことが正解です。
年賀はがきの枚数に余裕がなかったり、買いに行く時間がなかったり…書き直す手間も正直面倒と思ってしまう場面もありますよね。
面倒だから、と修正液や二重線などで修正して出した場合、受け取った相手は「面倒だからそのまま出したのかな」と思われる可能性があります。親しい友人、家族である場合を覗いて、できれば書き直すことをおすすめです。

また、使わなかった年賀状や書き損じた年賀状は、交換することができますので、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧になってみてください。

参考記事:【2024年版】書き損じた年賀状はがきは交換できる?交換方法やその他の活用方法を詳しく紹介!

年賀状のマナーについてまとめ

年賀状のマナーで注意する事をまとめました。

・句読点は忌み言葉のため使用しない
・使いがちな「去年」は「昨年」「旧年」と表現する
・賀詞にはマナーがあり、目上の方へは四文字熟語等、敬意を含む表現が望ましい
・重複した表現に気を付ける
・二文字以下の賀詞は親しい知人に使用すると良い
・書く時のペンにもマナーがある


昔から何気なく書いていた年賀状。結構マナーが沢山あって、一年に一度だからつい忘れがちになってしまうのではないでしょうか?ぜひ今年の年賀状作成の参考にしてみてください!
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